設立趣旨

大阪革新懇だより(第183号(2016年4月10日(日)より


インタビュー「違憲安全保障法に反対する大阪市立大学有志の会」発起人 伊地知紀子さん

「私の関心は、人生の軌跡から歴史と社会を考えること」と伊地知さん。有志の会発起人の一人で、「反安関西」の中心メンパーの一人です。有志の会は、安保法制(戦争法)強行採決が立憲主義と民主主義を仮死状態に追いやった暴挙だとして、抗議の「月命日コラム」(別項)も発信しています。


私個人としては、大学院生の頃から日本と朝鮮半島関係の戦後補償問題にかかわってきたので、安倍政権の動きは、ほんとうに危ないと思っていたのです。

 

けれど、特定秘審保護法が出てくるあたりでも、弁護士さんと一緒にデモに行くなどしてましたが、まだ「戦争」という危機感はなく、個人管理の問題ととらえていて、去年ぐらいまではのんびり見ていました。

 

“これは危ない!”と思ったのは、やはり「改憲」が出たからです。

16大学が「反安関西」となり交流と連携

SEALDsが声をあげたのを受け、「安全保障関連法に反対する学者の会」として大学の有志が立ちあがりました。その頃から各大学有志の会が立ち上がりはじめ、市大でもやりたいと思いました。

 

「学者の会」に入っている市大関係者が20人ぐらいおられたので、連絡をとつて有志の会を立ち上げ、すぐにホームベージをつくつて「声明」を掲載しました。関西ではうちが早いほうだったようです。

 

 

昨年12月に関西の16大学で共催した内田樹先生講演 会には300人近くの人が来てくださって。そこではじめて顔を合わせた各大学有志の会が、インターネットを利用してお互いの情報を交換する「反安関西」をつくったんです。たとえぱ、今月は関学と神戸大が、来月は京大と立命館がといった具合に、各大学の企画をネット上のカレンダーに記載して共有しています。

 

他の大学の企画を知ることで、やる気と新しい発想が生まれたり、互いの企画に参加したり共催にすることで、各「有志の会」の活動に幅が生まれ柔軟な連携をとることができます。

 

「反安関西」の次の企画は6月で、京都清華大学の白井聡さんを招いて、600人をめざして間催準術をしています。

 

まさか自分がやるとは

私の世代は学生運動の経験がないのですが、何かやらなけれぱと、私もマイク を持って街宣で訴えました。テレビで見ていたことをまさか自分がやるとは思 っていませんでした。

 

学生には、「徴兵の対象となる可能性を念頂に、今の平和がどのようにしてあるのかを考えてほしい」と言ってきました。

 

私が教えている学生の多くは日本国籍籍ですが、韓国、中国、アメリカ、ベトナムなど様々な国籍の学生もいます。学びの場は多様な学生によって成り立っているんです。同じ教室にいる学生が互いに銃を向けあう事態など、絶対に許してはなりません。

済州島での約束

私がこうした問いかけを続けているのは、フィールドワーク(研究のために共に生活をしたりインタビユーなどをする社会調査活動)でお会いした方たちと交わした約東もあるからです。

 

英米文学を学んでいた大学時代、欧米中心の知識の偏りに気づいて、アジアにおける日本について考えようと在日コリアンについて学ぶようになりました。

 

ボランティアをした生野区の識字学級(教育を受けられなかった人が読み書きを学ぶ)「オモニハッキョ」(お母さん学校)の生徒さんの平均年齢は70歳前後で、初めて鉛筆を持つ方が少なくありませんでした。

 

出会った方の緑で済州島の一番貧しい地域にある漁村に家を借りて住み、日本 の植民地支配を体験した方から当時のことを細かく伺い、「日本に戻ったら、私たちがこんなに辛い歴史を生きたことを学生たちに教えてほしい」と託されました。

 

街頭ではそういう話もしました。安保法制については、在日外国人151人の問題をどこかで入れなけれぱと思っていたからです。

 

朝鮮半島は日清、日露戦争の戦場になり、多くの朝鮮人が殺されました。もう加害者を生み出してはいけない。

 

私たちは問われています、世界各地の人々に、職争で傷つき心を病んで生きざるをえなかった人、家族、地域にです。安保法制を廃止するまで活動を止めません。声をあげ続けましょう。大声でなくてもいい、つぷやきでいいから、声を合わせましよう。